つぶやき

私はツイッターをしていませんので、

「 つぶやく 」 ことがありません。

でも、今日のことは自分の中ですごく嬉しかったので、

この場でつぶやかせてください。


今日おいでくださったお客様は、

僕の修行時代、見習いのころから続いてくださってる、

貴重なお客様方の中のおひとり。

もちろん、家も離れたところにあり、

わざわざ遠くからおいでくださっています。


今はすべてのお客様とも会話は震災のこと。

その中で毎日流れるテレビコマーシャルの話しになり、

「 あしなが育英会 」 のことになったとき、

その方がもうずいぶん前からその育英会活動に参加されていること、

献血を機会に赤十字活動にも参加されていること、

今まで知らなかった一面を照れくさそうに話してくださいました。



当店では、今、お客様すべてに、一枚の紙切れを手渡しています。

その紙切れにはこう書かれています。


「 本日いただけました料金の一部を

義援金として活用させていただきます。

必ず被災地にお届けします。

当店をご利用いただき、ありがとうございます。 」


最初は募金箱を置くことを考えました。

でも、当店の男性カット総合料金は 4,300円。


小さな店です。

そのくせ、料金だけなら全国的にも高価な理容料金なんです。

歩いて行ける範囲に 1,000円カットのお店だってあるんです。


特別なことはなにもしていません。

流行りのヘッドスパもない、いまどきのイケメンヘアーも苦手です。

得意とするのは、修行地がオフィス街だったこともあり、

ビジネスショート。　 一見、一番地味なスタイルです。

派手なことは何ひとつ出来ません。



...話しが逸れてしまいました。

そんなお店に足を運んでくださる方々から

料金以上のものをいただけない。

だから、いただいた料金の一部を義援金に。

そう考えました。


私が胸を張って 「 義援金です。 」 と差し出すのは

簡単です。　　でも、

それはすべて、 「 元はすべてお客様からいただいたお金 」 です。


だから、お客様にもひとことだけ、小さな声でお伝えしたかったのです。

一枚の紙切れに託して。



話しが戻りますが、

修行時代からのお客様、その紙切れを見て、

お釣りの 700円を。

「 あ、じゃ、オレ、これ寄付するわ。 」

さらっと言って。

「 頑張ってな。 」

そう言い残して、照れくさそうに帰っていかれました。

嬉しかった...。



他の方たちもその紙切れを見て、

「 あぁ、いいですよ。 」 と微笑んでくださったり、

「 これで私も被災地に何かできたんですね。 」 と笑ってくださったり...。

ウチの店が 「 被災地のために。 」 そう思ってしていたことが、


「 何よりこれだけ多くのお客様から、

実は自分が励まされているんだ。 」


そう気付かされたんです。



オレ、この仕事やってて、

オレ、この店持てて、

自分たち、こんなにいいお客様に恵まれてて。


この連鎖を。この善意を被災地まで。

どれだけ遠く離れていても。


繋げる。　届ける。　必ず。



必ず。

 

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