就活

水曜の朝に電話が鳴りまして。

「面接を受けたいのですが。」

「はい？」

 

連休明けでバタバタしていたのもあって

それどころではなく、そもそも通常、そういうのは現在、受付してないのですが、

なぜかそのときは彼女の誠実な話し方と真っ直ぐさが

なんといいますか、すっ と入ってきて。

それでもなぁ、というのもありまして、それにお客様もみえるし・・・。

「お近くの方なんですか？」

「はい、名東区です。」

「履歴書と職歴書を持って10時に来れますか？」

無理です。　だって9時35分ですもの。
 

「行きます。」　　来れるんかっ。

9時50分、再び電話。

「すみません、10時30分にお願いできませんでしょうか。」

・・・最初からそう言え。（笑

来てみたら。
 

ビシッとした リクルートスーツ。　　おぉ、しっかりしてるじゃありませんか。

書いたばかりの履歴書のインクが乾ききっていません。

「なんでウチなんかに？」から始った面接？が・・・。

彼女の熱意のすごいことすごいこと。

「独立したいんです。」　言葉で言うのは簡単だけど。

夢を持つのはいいことだし、持つべきものだけど。

そうそう容易いものじゃない。

誰かが泣かさにゃならんなら、その憎まれ役、買いましょう。

ここまで真っ直ぐな人もそうそういないし。

 

性格の悪い僕のイジメに耐える耐える。

それどころか喰らいついてくる。

 

・・・仕方ない。　　あんまり好きな方法じゃないけど。。。

僕の技術を受けてもらいました。　

 

終わったあと。

「自分の体に聞いてみてください。　『最低でも』 今と同じこと、

オーナーでないあなたにはそれ以上の技術が求められます。

それでもウチの戦力になると言い切れますか？」

「努力して・・・。」

「ウチは人を育てているほど余裕のある店じゃありません。」

「一ヶ月以内に出来るようになります。」　←顔を手で覆っています・・・。

「目を見て言ってもらえません？」

「出来るようになります。」

「・・・目が泳いでますよ。」

 

そこから仕事を挟みながら説得すること5時間。（汗

お互い、食事も摂らず、トイレにも行かず。

なんか真剣で戦ってるかのよう。

たまたま時間が空いていた日でしたが、そこでようやく次のお客様ご到着。

「いろいろ暴言を吐いてすみませんでした。」

「また話しを聞きに来ていいですか。」

「　（汗　　オレ、今日頑張ったやん。　これ以上話すことないやん。
それより何か食べてくださいね。」

・・・結局、この日、昼飯抜きで22時過ぎまで頑張った、オレ。。。

 

一日置いて昨日。　電話が鳴って。

「友達がぜひ受けたいっていうんです。　もちろんお客として。」

・・・・・・。　　その電話、カコさんが受けちゃって。

 

可愛いお友達、みえましたわ。

彼女、「あの、ご迷惑でなければ施術してるところ見せてもらってよろしいでしょうか？」

・・・・・。

「アカン。　企業秘密や。」

と、言えるワケもなく。（涙

 

そしたら彼女、スケッチブックを広げて。

僕の技術を描きとめていく。

 

・・・・・やりにくぃっ。

が、その熱心さにはさすがに感服。

 

お友達への施術後、

「やってごらん。」

「いいんですか？」

「アンタの友達や。　それに記憶はどんどん消えてくで。」

「はいっ。」















 

 

熱意の塊のような彼女。

ビジョンすらおぼろげで。

もちろんウデがあるワケもなく。

 

でも。

今まで僕の技術を取り入れてくれたみんなの中の

誰にも負けないものを見たような気がします。

 

一見、危なっかしくて不器用で。　器用に立ち回る対極にいて。

 

でも。

もし。

 

この熱意が続くなら。

今はバラバラなジグゾーパズルでも。

ピースさえ合わせられたら。

 

 

 

この子は形になる。

そう思わせられました。

 

 






・・・熱心なのはええけど、お客様のハラの上にスケッブック広げたらアカンで。。。

 

 

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